【はじめての練習編】「バンドでキーボードを弾くことに! …で、何をどうするの?」をまとめてみた!
前回の記事では、「コピーバンドでキーボードを弾くことになった」という想定で、どのようなキーボードをどうやって選んでいけばよいか、という内容をお伝えしました。
コピバン向けに買うべきキーボードはデジタルシンセサイザーであること、そしてYAMAHA、Roland、KORGのエントリーモデルから選んでみましょうというところまでご紹介しました。
今回は、キーボードを買ってから以降の流れについてお届けします。
題して、「はじめての練習編」!
キーボードが手に入ったら
とりあえず触ってみよう。
さてさて、キーボードが届いたら。
細かいことは置いといて…せっかくなので、とりあえず気の済むまで触り倒してみましょう!
テンションが上がります(大事)。
ぜひ、シンセサイザーの特徴である「いろんな音が出る」をじっくりと体感してください!
たとえば、「ピアノ」と一口に言ってもシンセサイザーの中には何十種類もの音色が入っています。ひとつひとつ音色を変えてみながら、ピアノという言葉に含まれた音色の幅広さをぜひ感じてみてください。
いろんな音を選んで遊んでいると、次第に「この辺にはこれ系の音色が入っているな」と把握できるようになってきます。コピーしたい曲を聴いて、1000以上入っているシンセの音色の中から「これはあの辺の音色を使えばいいな」とぱっと思いつくようになると、シンセがいよいよ自分の楽器になってきたなぁと実感できて、さらに楽しくなりますよ!
「いろんな音が出せる」、これぞシンセの醍醐味!
この「いろんな音色を触って試す」ことができるのってまさしくシンセの醍醐味で、一番楽しいところでもあります。
普通は「この曲を弾きたいから、それに似た音を探す」という流れになるかと思うのですが、その逆に「入っている音色から、弾きたい曲やフレーズをイメージする」という遊び方もできるんですよね。
私も、ノープランでとりあえず鍵盤に向かい適当に音を変えてみて、「この音色ならこんな演奏はどうかなー」なんて、即興で一人遊びをすることもあります。
ちなみに、「いろんなボタンやらレバーやら触りまくりすぎて何がなんだかわからなくなっちゃった! 元の状態に戻したい!」となってしまっても、どのシンセサイザーでも「初期設定に戻す(工場出荷時の状態に戻す)」の方法が説明書に載っているので、だいたい何とかなります。恐れず触りまくりましょう!
そろそろ練習しよう、と思ったら
さて、遊んでばかりいるのもアレなので、そろそろ練習の流れを。
ここではいったん、「これまでほとんど鍵盤を弾いたことがない」という方を主な対象として話を進めていきますね。
恐らく、王道的に言えば「まずは運指練習用の教本を買って…」となるんだろうとは思いつつ…
とりあえず、自分の好きな曲、やりたい曲をいきなり練習してみるのだって全然アリです。
楽しみながらできた方がいいですもんね。
が、何せ基礎練って、目的がわからないとつまらなくなりがち…なので、あくまで趣味で楽しむ範疇であれば、とりあえず好きな曲を自分なりに練習してみる→基礎練が必要だと感じたときにいろいろ調べて、勉強して、…という進め方でも全然いいんじゃないかな、と個人的には思っております。
1.コピーする曲を決めよう
基本的には、キーボードの音色(電子音またはピアノ、オルガン、ストリングスといった生楽器など、とにかくギター・ベース以外の楽器)が入っていればどんなものでも、好きな曲でOKです!
「初心者でも弾けるフレーズなのかどうか」を考え出すとキリがないですし、一概に「これが初心者向け」と言えるものでもありません。「このフレーズが弾きたい!」から入っちゃって全然OKです。
とはいえ「鍵盤初心者でも弾きやすいタイプの曲」というのはあります。詳しい解説は別記事でお伝えしますが、要点のみ挙げておくので、参考にしてみてください。
1.メンバーにキーボードがいるバンドの曲
ライブでの再現性がある程度意識されているので、全体的にコピーしやすい。
また、鍵盤の入り所がオイシイので弾いていて単純に楽しいフレーズが多い。
2.キーボードリフ(※)がはっきりしている曲
最終的に困ったら、目立つリフだけ弾けるようになれば何となく曲が成立したりする。このタイプの曲の場合、キーボードリフは単音のメロディで構成されていることも多いので、左右の人差し指だけで弾けちゃうケースも。
2.バンドスコア(楽譜)をゲットしよう
コピーする曲を決めたら、バンドスコアをゲットしましょう!
バンドスコアは、バンド内のすべてのパートを譜面に起こしたものになります。なので、ボーカルやキーボードはもちろん、ギターやベース、ドラムの譜面もすべてひとつにまとまって記載されています。
ピアノスコアやギタースコアと間違えないように注意!
市販されている楽譜のうち、メジャーなものは大きく分けて以下の3種類になります。
- バンドスコア
- ピアノスコア
- ギタースコア
ピアノスコアの場合、ピアノでの演奏のみで曲が成り立つように、メロディからベースラインまでひっくるめてアレンジされている=原曲で実際にキーボードパートが担う演奏とはまったく異なる内容になっているため、バンド編成で演奏するには不向きです。
ほかのパートメンバーが「楽譜はいらないよー」と言ったとしても、キーボード用の楽譜が必要なときには必ず「バンドスコア」を用意しましょう!
バンドスコアの入手方法
流行の曲や有名な曲、有名なバンドは結構バンドスコアが入手しやすいです。
- 楽器屋や、大きめの本屋で入手する
- Amazonなどの通販で入手する
- 楽譜のダウンロード販売サイトで入手する
1.楽器屋や、大きめの本屋で入手する
実際に中身を吟味して購入できるのは、実店舗の一番の強みですよね。
ですが、いざ店舗に行ってもバンドスコアは案外在庫不足で手に入らないケースも多いのがネックです。超定番バンド/定番曲+直近のヒット曲であれば割と置いてありますが、それ以外の曲を探したい場合は、ほかの手段を使うほうが確実です。
2.Amazonなどの通販で入手する
ということで、手っ取り早く探せて、より確実に手に入れやすいのは通販。
主な通販サイトで「バンドスコア」を検索すると、こんな感じで出てきます。
これを見るだけでも、結構バラエティに富んだアーティストのバンドスコアが販売されているのがわかりますね。
店頭ではなかなか手に入りづらい楽譜でも扱いがあったり、うまくいけば中古で安く入手できたりするので、「バンドスコアがほしかったらとりあえずAmazonなどの通販で探す」というバンドマンは多いです。
3.楽譜のダウンロード販売サイトで入手する
1曲だけ決め打ちでほしい! あるいは、iPadで見たいからPDFのデータでほしい! といった場合に重宝するのが、楽譜のダウンロード販売サイトです。
有名なところだと、「ぷりんと楽譜」と「@ELISE(アットエリーゼ)」などがあります。
■ぷりんと楽譜
https://www.print-gakufu.com/
■@ELISE(アットエリーゼ)
http://www.at-elise.com/
バンドスコアを購入するときは、収録曲もチェックしておこう!
市販のバンドスコアの場合、収録されている曲をしっかりチェックしておきましょう。
たいていの場合、以下のいずれかのパターンで曲が掲載されています。
- 1曲のみ収録(DLサイトはほぼこのパターンですが、冊子でも1曲のみ収録のものが存在します)
- アルバムまるっと全曲
- そのアーティストのヒットソング集など、セレクション形式
アルバムの曲集とセレクション形式とを揃える場合、シングル曲などが被りがちになります。
ある程度被るのは仕方ないですが、「今後やってみたい曲」がなるべく入っているものを選ぶ方が、コスパは良くなります。
また、収録アーティストはバラバラになりますが、「初心者向け」とタイトルで謳っているバンドスコアもあります(流行のものや年代別ヒットソング集のような形でいろいろなアーティストの曲が収録されています)。こういったスコアは原曲で演奏されている内容よりもカンタンにアレンジされているので、何曲か好きな曲が入っているようであれば、「まず最初にやってみる1冊」としていいかもしれません。
たとえば、定番の人気曲を初心者向けにアレンジしてまとめたバンドスコアがこのあたり。誰もが知っているような曲が多いので、ライブでも盛り上がりやすい選曲ができますね!
人気のアニソンも、初心者向けのスコアが発売されています。
定番の『けいおん!!』や『バンドリ!』は入ってないんだなー…と思いながら収録曲を見ていたのですが、そういえば『けいおん!!』も『バンドリ!』もそもそもの楽曲の難易度がかなり高いんですよね…以前、『けいおん!!』の「Go! Go! Maniac」の鍵盤をコピーしたんですけど、なかなか難儀したなー、と(でも弾き応えがあって楽しかったです。笑)。
洋楽ヒットソングを集めた初心者向けスコアなんかもあります。こちらのスコアはセッションでも定番の有名曲がたくさん収録されているので、1冊あれば長く楽しめそうです!
3.バンドスコアを見ながら曲を聴いてみよう
バンドスコアをゲットしたら、まず最初に「楽譜を目で追いながらその曲を繰り返し聴く」ことをオススメします!
これには、2つの目的があります。
- 楽譜の流れる順番を把握する
- 楽譜に書かれている内容と、実際に演奏されている音・フレーズの関係を理解する
1.楽譜の流れる順番を把握する
楽譜は、1曲の中で繰り返し出てくる構成をまとめて記載しているのですが、その際に「ここまで弾いたら、次はこっちに飛ぶ」といった指示が”繰り返し記号”などで記載されています。
まずはこの繰り返し記号が指示する動きを覚えて、1曲の中で楽譜の流れる順番がどうなっているか、全体像を把握しましょう!
2.楽譜に書かれている内容と、実際に演奏されている音・フレーズの関係を理解する
楽譜の流れ方がわかったら、次は具体的なフレーズを見ていきましょう!
ただ、この段階では1音1音のドレミまで細かく追う必要はありません。
楽譜上のオタマジャクシの並びと、実際に演奏されているフレーズとを見比べ・聞き比べて「視覚(楽譜)と聴覚(フレーズ)」とを結びつけていくことが大事です。
楽譜を見ながら、「ここのフレーズはこんな風に上がり下がりしてるんだなー」とか「ここのフレーズのリズムは、曲中でこんな風に演奏されるんだな」といったことを先に耳で掴んでおくと、その後の練習がぐっとラクになりますよ!
4.実際に弾いてみよう
楽譜がどんなふうに流れ、そしてどんなフレーズを奏でているかがだいたい把握できたら、いよいよ実際に自分でも弾いてみましょう!
最初は難しく感じるフレーズでも、ゆっくりのテンポから練習すれば絶対に弾けるようになります。ので、ぜひ諦めずに!
最後に、弾けないフレーズが弾けるようになるためのワンポイントアドバイスをお送りしますね!
1.ものすごくゆっくり、絶対間違えない速さでそのフレーズを弾いてみる
自分の中で拍を取りながら(4拍子の曲なら「いち、に、さん、し」といった具合に)、ゆっくり弾いてみましょう。「こう弾きたいんだよー」というのを、指に教えるイメージです。
2.ゆっくりのテンポのまま、メトロノームに合わせて弾いてみる
自分のテンポで弾けるようになってきたら、そのテンポでメトロノームを鳴らして弾いてみましょう。
自分にとって難しいフレーズの場合、たぶんここで一度モシャります。
さっきまで、自分でカウントしながらなら弾けていたのに何故…!? となりますが、自分で数えてるカウントって、自分にとって都合がいいカウントなんですね。
でも、バンドはアンサンブル=ほかの人とカウントを合わせて演奏するもの。「ほかの音を聴きながら、それに合わせて演奏する」という意味でも、メトロノームのカウントを聴きながら、それに合わせて弾けるようになることはとても大事なのです。
メトロノーム練習の際に意識しておきたいことを、もう少し。
メトロノームのカウントを「点」でとらえてしまうと、その「点」に「合わせに行く」方向に意識してしまい、急にハードルが上がるように感じるかもしれません。
これはある意味当たり前で、規則的とはいえ瞬間の「点」を意識して合わせるのって、針の先ほどの目印に針を当てに行くような、気の詰まる作業ですよね。これだと途端に音楽がつまらなくなってしまいます。
そこでオススメなのは、メトロノームの4拍が奏でる「呼吸」に自分の4拍の「呼吸」を合わせに行く感じでとらえてみることです。これだと、流れ続ける「線」と「線」の波を合わせに行くイメージになるので、メトロノーム練習がぐっと音楽的に楽しくなりますよ!
自分で弾けていたテンポからさらに落としてもいいので、じっくり練習しましょう!
3.メトロノームのテンポを徐々に上げて、原曲のテンポに近づけていく
ゆっくりのテンポでメトロノームに合わせて弾けるようになったら、少しずつテンポを上げて練習していきましょう。
このとき、一気にテンポを上げすぎないように注意!
「気持ち的にはアワアワするけど一応弾ける」くらいのテンポまで上げる、が目安です。
テンポを+5も上げてしまうと、途端に別モノのように感じられて弾けなくなってしまいがちです。
そんなときは無理をせず、+2〜3くらいのテンポアップから始めましょう。そのテンポでも落ち着いて弾けるようになったら、もう+2〜3アップして…といった具合に、少しずつ上げていきましょう。
途中で無理をして、指がゴシャゴシャしてもたつくけど何とか弾ける、みたいな状態からぐんぐんテンポを上げていくと、演奏の精度が下がり思うようなフレージングで弾けなくなったり、最悪は指や腕を痛めてしまうこともあります。
とにかく焦らず、少しずつ、がポイントです。
ちなみに私の場合、原曲のテンポが130くらいだったとしても、テンポ80くらいまで落として練習しはじめることもあります。でもこれで、超絶技巧系はともかく一般的な曲のコピーで「どうしても弾けない!」というフレーズには今のところ出会ったことがないかも。地道にまさるものなし、です!
4.疲れてきたら、「ある程度弾けたところまで」で終わるようにしよう
脳は反復運動で学習が深まっていく性質があるので、少しずつテンポを上げていく練習を繰り返す中で「こうやって指や筋肉を動かせばいいんだな、この方が効率が良さそうだな」と自ずと理解していってくれます。
ですが、一番記憶に残りやすいのは「一番最後に行った反復練習」でもあるため、無理をしたテンポの状態で終えてしまうと「無理をした状態」を記憶してしまうことになります。
練習を続け、そろそろ疲れたから終わりにしようというときは、「無理なく心地よく弾けるテンポ」に戻って締めの練習を行い、「ここまではちゃんと弾ける!ヨシ!」と気分良く終わらせるようにしましょう。
疲れてくると、それまでできていたことでもできなくなりがちです。あまり追い込みすぎず「楽しく練習し続ける」ことが、難しいフレーズを攻略する一番の近道になりますよ!