ギターは、弾かない弦で差がつく。余計な音を止める最初の練習

一本のギターから、最初の一曲へ。自宅練習のイメージ。
一つのコードを鳴らし、狙った拍でぴたりと止める。それだけでも、ギターのリズムに輪郭が生まれます。鳴らしたい弦と休ませたい弦を聴き分けながら、少ない音でフレーズを引き立てる練習をしてみましょう。ギターの演奏は、鳴らす動きと止める動きの両方でできています。
ここではエレキギターを中心に、音を完全に止めるミュートと、響きを短くするパームミュートを分けて練習します。右手でピックを持つ場合を例にしていますが、左利きなら左右を読み替えてください。音を消すために強く握り続けるのではなく、必要な場所へ軽く触れて違いを聴くところから始めます。
「ミュート」を、二つの目的に分ける
一つは、鳴らしたくない弦や休符の音を止めることです。もう一つは、音を鳴らしながら余韻や音色を変えることです。同じミュートという言葉でも、完全に無音にしたいのか、短い音を残したいのかで成功の判断が違います。先に目的を決めておくと、「音が消えたから全部正解」とはならなくなります。
| 目的 | 聴きたい結果 | よくある勘違い |
|---|---|---|
| 使わない弦を止める | 狙った音だけが残る | 狙った弦まで強く押さえてしまう |
| 休符で止める | 決めた場所で余韻が切れる | ピックを止めれば音も止まると思う |
| パームミュート | 音程を残しつつ短く響く | 完全に無音になるまで押さえる |
まずはアンプを大きくせず、できるだけ素直な音で確認します。歪みが強いと小さな接触音まで目立つ一方、音の種類を区別しづらいことがあります。基本の動きが分かったら、実際に使う歪みでも確認し、設定を変えたことと奏法を変えたことを混ぜないようにします。
一本だけを鳴らして、他の弦を聴く
好きな弦を一本、ゆっくり鳴らします。次に、弾いていない弦へ軽く触れ、響きが変わるかを聴きます。他の弦が共鳴していたなら、触れたときに余計な響きが減るはずです。弾いていない弦でも振動することがある、という体験が最初の手がかりになります。
どの手でどの弦を止めるかは、弾く場所やフレーズによって変わります。低い側の弦をピッキング側の手で、高い側の弦を押弦側の指で軽く触れて止めるなど、役割を分けられます。ただし一つの形をすべての曲へ当てはめず、狙った音がちゃんと鳴るかも同時に確認してください。
押弦側の指を寝かせ過ぎると、本来鳴らす隣の弦まで止まる場合があります。そこで「全部の弦が鳴るコード」と「一部だけ鳴らす形」を区別します。コードの形が同じでも、曲の中でどの弦を使うかによって必要なミュートは変わります。
音を止める場所を、一拍だけ決める
一つのコードを1拍目で鳴らし、2拍目の頭で止めます。3と4は休みです。止めるときは、弦から指を大きく離すのではなく、押さえる力を緩めつつ弦に触れた状態を試します。開放弦が混じるコードでは、それだけで止まらない弦があるので、ピッキング側の手も使って止めます。
| 数える位置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| 動作 | コードを鳴らす | 弦に触れて止める | 休む | 休む |
| 確認 | 狙った音が出たか | 余韻が切れたか | 開放弦が残らないか | 次の準備で音が出ないか |
この練習では、2拍目に打楽器のような強い接触音を出すことが目的ではありません。そっと止めても余韻は切れます。止める動きで別の弦を弾いてしまったり、指を離すときに音を引っ掛けたりするなら、動きを小さくしてもう一度試します。
ミキさんバンドも機材も、一つずつ知りたい
ミュートができていないなら、もっと強く弦を押さえるんですか?
ハジメさん音と仕組みをかみ砕いて話す
強くする前に、どの弦が鳴っているかを分けます。鳴らさない弦へ軽く触れる動きと、鳴らす弦を押さえる動きは別です。一弦ずつ、ゆっくり確かめましょう。
パームミュートは、触れる位置を少しずつ変える
パームミュートでは、ピッキング側の手の小指側をブリッジ付近の弦へ触れさせ、音を短くします。まず低音弦一本で、触れない音と触れた音を交互に比べます。ブリッジの構造は楽器ごとに違うため、見本の手の位置をそのまま再現するより、自分の楽器で音程が残る場所を探します。
位置を弦の中央側へ寄せ過ぎたり、強く押さえ過ぎたりすると、狙った音まで詰まります。逆にほとんど触れていなければ、普通に伸びる音との違いが小さくなります。位置、触れる強さ、ピックの強さを同時に変えず、まず位置だけを少しずつ動かして比較してください。
Fenderの解説でも、手の位置、触れる強さ、ピッキングの強さが響きに関わると説明されています。ここではその三つを、一つずつ比べる練習にしています。強く押すことが上達ではなく、曲に合う長さと音色を再現できることが目標です。
二種類の音を交互にしてみる
同じ低音を四分音符で四回鳴らし、1・2はパームミュート、3・4は開いた音にしてみます。音程やテンポは変えません。短い音から伸びる音へ変わるだけでも、フレーズの表情が変わります。反対に1・2を伸ばし、3・4を短くする案も試して、どちらが落ち着くか聴いてください。
次は四回すべて短くし、最後の4だけ少し長くします。バンドで歌の入口へつなぐときなど、音数を増やさず変化を作る考え方につながります。ただし、長くした音が次のコードへ残って濁らないかは確認が必要です。鳴らす場所と同じくらい、終える場所も曲の一部です。
ノイズゲートで解決する前に
ノイズゲートは、設定した条件で小さな信号を抑えるための機能です。弾いていないときのノイズを減らせても、演奏中の不要な弦を選んで消してくれるわけではありません。強く設定すると必要な余韻まで切れる場合があります。使うなら、奏法の確認と機器設定を別の作業にしましょう。
また、弦へ触れていないときの電気的なノイズと、弦が鳴り続ける音は原因が違います。弦を止めても残る音なら、ケーブルや電源、周囲の機器など別の確認が必要です。大きな音で原因を探すより、音量を下げ、接続を一つずつ確認します。
録音を、音の終わりから聴く
練習の最後に、コード一回、休符、短い低音、伸びる低音を録ってみます。録音を再生するときは、音が出た瞬間より終わり方を聴きます。「休符に一本だけ残る」「次のコードを押さえると音が出る」「短くすると音程が分からなくなる」のように、一つの現象へ名前を付けます。
次の練習では、その現象だけを扱います。すべての音を完璧に消そうとすると、演奏が硬くなることもあります。曲の中で必要な響きと不要な響きを選べるように、短い例で違いを聴き、最後に好きな曲の一部分へ戻してください。止める動きが分かると、少ない音でも輪郭のあるギターを作りやすくなります。
Fender:パームミュートの位置・強さ・ピッキングの説明(確認日:2026年10月28日)。表と練習手順は当サイト制作です。
BOSS NS-2公式解説でも、ノイズ抑制を始める信号レベル(Threshold)と、そこから音が消えるまでの時間(Decay)は別の調整として説明されています。設定名や動作は機種ごとの説明書で確認してください(確認日:2026年10月28日)。
よかったら、いいねで教えてください。
ギター特集を続けて読む
このページは第3回/全5回です。
