サウンドチェックで何を言えばいい?「聞こえない」を伝わる言葉にする【第2回/全3回】

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第2回 / 全3回 · 初ライブ当日、迷わない3レッスン。搬入から終演まで
「ボーカルをもう少しください」と言ったのに、欲しかった聞こえ方にならない。初めてのサウンドチェックでは、何を頼むべきか自体が分かりにくいものです。ここでの目的は、短時間で完璧な音を作ることではありません。自分たちが安心して演奏でき、スタッフと本番の音を共有できる状態へ近づけることです。客席の音と舞台の音を分けるところから始めましょう。
客席へ届ける音と、演奏者が聞く音は別
客席に向いたスピーカーと、演奏者の近くにあるモニターは役割が違います。舞台で聞こえる音だけを根拠に、客席も同じバランスだと決めることはできません。自分の位置で困っていることなのか、客席側の印象についての相談なのかを分けて伝えます。
会場によってモニターの数や調整できる範囲は異なります。一人ずつ完全に独立した音を作れるとは限りません。まず「このモニターは誰と共有ですか」と聞き、共有している人同士で優先順位を合わせると、後から一方の要望が別の人の困りごとになるのを減らせます。
伝える順番は、場所・音・困り方
「全然聞こえない」では、どこを直したらよいか判断しにくくなります。「下手側のギター位置で、歌の音程が取りにくいです。ボーカルを少し確認できますか」のように、立っている場所、必要な音、困っていることを順に話してみます。
位置を表す言葉に自信がなければ、「客席から見て右のギターです」のように基準を付ければ十分です。音響用語を無理に使う必要はありません。「キックの頭が分からず、ベースとタイミングを合わせにくい」といった演奏上の情報は、単に音量の数字を指定するより話の入口になります。
「聞こえない」を相談に変える
- 場所どの立ち位置・モニター?
- 音と困り方何を聞き取れず困っている?
- 比較一つ調整し、同じ箇所を演奏
関係を整理した図解。実測値・光の正確な経路・寸法を表すものではありません。
一度に一つ変え、同じフレーズで比べる
何かを調整したら、短い同じフレーズで前後を比べます。毎回別の曲や違う音色を使うと、機材の調整で変わったのか、演奏が変わったのか分からなくなります。サビの数小節など、確認する場所をバンド内で決めておきましょう。
小さな声でチェックして、本番だけ大きく歌うと、確認した条件と変わります。普段の演奏に近い強さで試し、音量差の大きい音色を使うならその切り替えも知らせます。全曲を演奏するための時間ではないので、スタッフの進行に沿って必要な箇所を絞ります。
聞こえないとき、上げる以外の選択肢もある
欲しい音がほかの音に隠れている場合、すべてを上げ続けても聞き取りやすくなるとは限りません。大きすぎる舞台上のアンプやモニターを整理できないか、立ち位置や向きで改善するかをスタッフに相談します。自分だけでアンプを上げると、ほかの人がまた上げる循環になりやすくなります。
マイクと音源の距離や向きも重要です。Shureは、適切なマイク配置が不要な音の拾い込みやハウリング前の余裕に関わることを説明しています。ただし「どのマイクも真後ろにモニターを置けばよい」と一律には決められません。指向性が違うため、会場の担当者に任せる部分を区別しましょう。
ハウリングが起きたら、音量競争を止める
ハウリングは、スピーカーから出た音がマイクへ入り、再び増幅される循環で起こります。「高いマイクを買えば必ず消える」という問題ではありません。音量、配置、部屋、マイクの使い方などが関わります。鋭い音が出たら演奏を止め、スタッフが調整できる状態にします。
マイクの先を手で覆ったり、鳴っているスピーカーへ向けたりして解決しようとしないでください。本番中に起きた場合も、無理に歌い続けて様子を見るより、担当者へ合図します。耳を守るためにも、原因を確かめず大きな音を出し続けないことが大切です。
最後は、できることと残ることを共有する
チェックが終わる前に、「この位置で歌が確認できた」「ギターの切り替えだけ本番でも気にしてほしい」のように要点を短く共有します。調整の限界があれば、それを前提に演奏方法を合わせます。何も言わず我慢することと、すべてを思い通りにすることの間に、相談できる余地があります。
本番前に思い出す言葉は三つです。自分の場所を伝える。同じフレーズで比べる。一度に一つずつ変える。この手順があれば、「なんとなく悪い音」を、具体的に相談できる状態へ変えられます。
ここが気になったら
Q 聞こえなかったら、自分のアンプを上げればいい?
まず自分の位置で何が聞こえないのかを伝えましょう。音量を上げる以外に、ほかの音とのバランスや配置で改善できることもあります。
出典と、この回での読み取り
Shure「Feedback: Fact and Fiction」(参照内容の要約)
ハウリングはマイク単体の良し悪しではなく、スピーカー・配置・音響系など複数の要因で生じることを説明しています。音量だけで解決しないという本文の根拠です。
Shure「Three Reasons Why Mic Placement Matters」(参照内容の要約)
配置が不要な音の拾い込みとハウリング前の余裕に関わる点、マイクの指向性を区別する点を参照しています。相談例と確認順は本記事独自の提案です。
資料確認日:2026年10月26日。説明・図解・観察の提案は当サイトで構成しています。
