100%電子駆動の楽器にはコスパの概念は存在しないんじゃないか、という話
100%電子駆動、なんてややこしい言い方をしましたが、言いたいのはエレドラとシンセのことです(笑)。
これまでに、エレドラとシンセを何台か使ってきたのですが、その中で一番感じているのが、
「自分がどれだけ初心者だと思っていたとしても、エレドラとシンセは最低でも定価10万以上のものを買ったほうがいい!」
ということ。
大手メーカーでも、初心者向けとしてだいたい5万〜7万円程度のエントリーモデルをラインナップしていることが多いですよね。
まだ初心者だし…続くか分からないし…といってこのあたりのモデルに手を出すと、3カ月以内には後悔して1年以内には買い換えたくなります…!(経験談)
なぜなのか。
順に見て行きましょう。
1.音がショボい
製品紹介に「最上位機種に使用されている何ちゃらサウンドエンジンを『元に』云々…」と書いてあったりしたら、要注意です。音色データ容量を減らすために再サンプリングされているため、音がかなり軽く・薄くなる傾向があります。シンセの場合はこれがライブ使用には致命的で、バンドサウンドの中でなかなか抜けない・埋もれがちな音になってしまいます。
何より、音がペラペラだと自分が弾いていて/叩いていても気持ち良くないですよね。
2.音色の作り込みができない
で、せめてEQやFX類で少しでも聞こえのよい音にできないかなーと考えますよね。
できないんです…何せエントリーモデルなので、そのあたりの機能も最低限なんです…。
そもそも機能として付いていないか、あるいは付いていてもいじるほど音がダメになっていく悪循環。何せ元の音が上述のようにペラいですからね…。
3.操作性が悪い
これはとくにシンセで顕著な話なのですが、表側のボタン数を減らした分、いろんな機能が裏側へ裏側へと追いやられています。その結果、必要な操作をするためにボタンやつまみをいじりまくる事態に。
たとえば、あなたがプリセットのアルペジオパターンを重ねながら演奏したいと思ったとき、まず対象となる音色を選択、次にその音色パート用の設定画面に行き、FX一覧の中からアルペジオメニューを開き……早く音を出したいのに、いちいち操作に時間を取られているとイライラMAXですよ本当に…!
と、エントリーモデルの文句ばかり書いてしまいましたが、これらのデメリットを逆読みすると、エントリーモデルが向いている人というのが見えてきます。
【エントリーモデルが向いている人】
- 音の良さにはこだわらない
- プリセットの音色が使えれば十分
- 機能性はそこまで必要ない
つまり、「ありのままの君が好きなんだ…君のそのままを受け入れるよ…さぁ、どんとこい!」という人向きですね。
これ、楽器購入のモチベーションとしては大いにアリだと思っていて、「不器用だけれどこいつの出す音が好き」と思えれば、楽器として長く使うことはできるんですよね。
結局のところは、気持ちいい音なのかどうか。
でも、もしあなたがこれからシンセやエレドラを始めようとしていて、これからいろいろやってみたいと思っているのであれば、ある程度の機能性を持った中級機以上のもの、ざっくり目安として定価10万円以上のものを買うほうが、間違いなく後悔が少ないです。
予算に余裕がない場合は、1〜2世代前の中古でもかまいません。
今はいろんな機能が必要ないと思っていても、ちょっとやりだしたらアレコレやってみたくなるもの。その時に機能の制限ゆえに思った音が出せず、楽器へのモチベーションが下がってしまうのが、何より一番悲しいことなのです。