もっとも効果の高い練習方法は「音楽を聴くこと」!? ひとつの曲を徹底的に聴き込んでみよう!
良質なアウトプットは良質なインプットによってなされる
昔、絵を描く人から聞いた話なのですが。
「いい絵が描けたぞ! と思っても、日を空けてまたその絵を見たときに、全然よくないじゃないか、まだまだ甘いところが山ほどあると気付かされることがある。それは、自分の持っている技術に自分の『目』が追いついていないから。いい絵を描くためには、指先の技術だけじゃなくてその絵を見る『目』も育てないといけない」
おおおお…!(感動)
これ、結構若い頃(まだ社会にすら出ていない、学生の頃ですな)に聞いたんですが、なかなか衝撃を受けたんですよね。なので今でもよく覚えてる。
そろそろ記憶力に不安が隠せないアラフォー、アラカワです。悲しみが深い。
今は仕事柄、クリエイターの方やデザイナーさんなどと会う機会も多いのですが、やはり皆さん日頃からさまざまなクリエイティブに触れて、その意図を理解したり自身の美意識を育てたりといったインプットに余念がない方が多いです。
ビジュアルを作る人たちは、手(技術)と同時に「目」も育てているのだなと。
「耳」を育てるにはどうしたらいい?
じゃあ、音楽ならそれは何なんだろう? という話です。「耳を育てる」ってどういうことなのか。
ひとつには、いろんなジャンル、いろんなアーティストの音楽を聴くことがありますよね。
もちろん、これもとっても大事な「耳を育てる要素」です(この話もいつか深掘りしたい!)。
加えて、「ひとつの曲を、徹底的に分解して聴いたこと」はあるでしょうか?
もうね、片っ端から各パートに分解して、ギターならギター、ベースならベースだけを1曲通してずっと追っていく。
これ、楽器初心者の人でもいつでも実践できて、かつ音楽的な素養や引き出しを作るのにものすごく役立つので、「これから楽器を始める」という人にこそぜひおすすめしたいアプローチなんです!
なぜなのか。それをもう少し踏み込んで解説しますね。
速弾きフレーズを10個習得するより、好きな3曲を深聴きしたほうが「良いプレイヤー」に早く近づける
「上手いプレイヤー」と「良いプレイヤー」って、全然別モノです。
たくさんの技術を持っていて、すごい速弾きができる、複雑なフィルをさらりとこなせる、あるいはコード理論を熟知していて、クセのあるメロディやリフやソロを曲の中に埋め込んでいける。そういうのってとても巧みだなぁと思うし、誰がどう見ても「上手いプレイヤー」ですよね。
その一方で、そんなに小難しいことはしていなさそうなのに何故か味があって引き込まれる、というタイプのプレイヤーもいる。
何なら、ずっと白玉しか弾いてない(ぴゃーーって、ずっと同じ音を押さえてると理解してください)のに、それがめちゃくちゃかっこいい、とか。
こういう人たちって、エンタメとしての音楽をよくわかってるんだろうなーと感じます。
何がどう鳴ってたら、聴いている人の心を掴めるか。
あるいは、聴いている人たちが「音楽」に何を求めているのか。
もっと言ったら、そもそも演奏している当人たちが自分の演奏で自分の心を掴みたい、音楽で気持ち良くなりたい! という思いが根底にあるんですよね。
難しいフレーズを弾ききる達成感に楽しさを見いだすのか、音鳴りによる感情の動きに快感を見いだすのかの違いとでもいうのか。
そういう人がバンドの中にいると、技術の有無とは関係なく「良いプレイヤーだなぁ」と感じるし、バンドメンバー全体がそういうスタイルだと「いいバンドだなぁ」と思うんです。
バンドのアンサンブルの中で、この楽器がこう鳴ってたら気持ち良いよね!! っていうのを、見事に体現してくれてるんですよね。
技術と感性は両軸で動く
こういう話をすると、
「いや! 十分な技術がなければ良い演奏にはなり得ないだろう!」とか、
「技術に頼るんじゃなくて、アツい想いさえあれば良い演奏になるだろう!!!」とか、
どうしてもそういう議論になりがちです。
これ、どちらも間違ってはいないと思います。
でも、個人的にはどちらもちょっと極論すぎるかなとも感じるのです。
技術を習得していくことって、「弾けたか、弾けないか」で基準がわかりやすいから、ある意味ゴール設定がわかりやすくて取り組みやすいんです。
でも、その技術の使いどころ(音楽的に美味しく活きるところ)がわかっていないと宝の持ち腐れになりやすい。
かといって、想いがあってもそれを表現できるだけの技術が足りなければ、もどかしさが付きまといます。
それを踏まえて、技術的にまだできることの少ない楽器初心者の人こそ、自分の好きな曲をしっかり聴き込んで「なぜこの曲が好きになったか、その背景として楽器はどんな演奏をしているのか」を深掘りすること、それを通じて音楽的な感性を磨くほうが、「心を動かされる良い演奏」に早く近づけるんじゃないかなと思うんです。
それを続けていく中で、
なぜここで心動かされたのか
↓
こういう演奏のためには、こういう技術が必要そう
ということが見えてきて、自ずと技術を身につけるモチベーションも湧くものです。
そして何より、音楽のワクワクを味わいながら練習したほうが絶対楽しいですしね!
パート別に1曲を聴く方法 ざっくりポイント解説
慣れないうちは、楽器構成のシンプルな曲にしましょう
ドラム、ベース、ギター(1本だけ)、ボーカルのみ、など。
あんまり楽器やパートが多いと、聞き分けするだけでも結構大変なので。
あれば、バンドスコア(楽譜)を見ながら聴いてみましょう
コードのみの記載やタブ譜ではなく、音符(オタマジャクシのアレ)が載っているタイプのほうがよいです。
とはいえ楽譜がガッツリ読める必要はなくて、音符の上下で何となく「音の上がり下がり」が把握できれば十分です。
(聴きたいパートを見失ったときなどに、音を探す参考として使います)
聴き方の流れはこんな感じがオススメ
1)まずはいつも通り聴く。この時、自分の耳がどこへ向きやすいか意識してみるとよいです。
2)自分が担当するパート「以外」を聴いていく。ギターの人であれば、ベース、ドラムなどから聴いていく。
3)各パートを追い終わったら、自分のパートをじっくり聴く
4)最後に、もう一度全体を聴く
先に自分のパート以外をじっくり聴いておくことで、いざ自分のパートの音に注目したときに「ほかの楽器の様子を踏まえて、自分のパートの人はこうしているんだな」ということが理解しやすくなります。
また、最後にもう一度、ひとつのパートにとらわれないように全体を聴くことによって「楽器全体のアンサンブルによって、曲がどんな風にメリハリづけられているのか」、聴く人を飽きさせないための仕掛けも理解しやすくなります!
さてさて。
こうなってくると、「パート別に、深く聴く音楽の聴き方」について、具体例がほしいですよね。
どうしたもんかなー、何かいい題材ないかなーと悩んでいたところ、ライターのハセガワくんが近々、「楽器初心者の人が取り組みやすそうなバンドの曲をテーマに、1曲を掘り下げてパート別に解説する記事をアップする予定」だと聞きましてですね。
タイミングが!! 神がかってる!!!←
というわけで、ハセガワくんの記事を今少しお待ちくださいませー♫
(記事アップのプレッシャーをかけていくスタイル)
幼少期〜高校までエレクトーンを習い、いろんな楽器の音色やその役割、楽曲のアンサンブルについて興味を持つようになったアンサンブルオタク。
学生時代よりバンド活動を始め、コピバン、カバーバンド、オリジナルバンドに加わりながらいろんな楽器を触るようになる。
最近のメインパートはドラム。たまにキーボード。ギターはこのところめっきり触ってない。