令和元年の大事件。ラムズヘッド(Ram’s Head)が出るぞー!
この発表、先日Twitterで見て変な声が出ました。
エレハモファン、ファズファンが待ち焦がれたこの発表。ハセガワも10年以上待ちました。
迷わず”買い”しかないレジェンドBIG MUFF、通称ラムズヘッド(Ram’s Head)期のリイシュー(再発)です!!!!
…この感動、もう説明不要な共有感情と思い込んでいたのですが、Band Beginners!ライターのアラカワ、シムラ両名に伝えても反応が「…へー、良かったね ?」的なアレ。
何故だ伝わってない。そんな馬鹿な。
そんな塩対応にめげず、俺達がどれだけ待ち焦がれたかを! 伝えたい!! いいからファズを踏め!!! BIG MUFFを愛でろ!!!!
今日はそんな記事でお送りします。
そもそもラムズヘッドってなんなのよ
全く知らない方向けに「ラムズヘッド」の説明を。ご存じの方は読み飛ばしちゃって下さい。
まず、下の画像はelectro-harmonix(以降エレハモ)社のブランドアイコンなのですが、何に見えますか?
正解は女性の顔 (ヒッピーの方がエレハモの社長の部屋の壁に描いたらしい)。
ところがこのアイコン。ユーザーが「羊じゃね?」とか「ライオンぽいよね?」と言い出した結果、「羊の頭=Ram’s head(ラムズヘッド)」と呼ばれるようになりました。
electro-harmonixのブランドアイコン = 通称ラムズヘッド。
ここまではOKですね。
では続いてBIG MUFFの歴史に行きましょう。
みんな大好きBIG MUFF
はい、みんな大好きなBIG MUFF(ビッグマフ)というエフェクターがありますよね。エレハモの代表的なファズ。以前、弁当箱とお伝えしたコイツの事です。
現在、様々なサイズや機能違いで発売されているモデルの元となるこの弁当箱、実は1968年に誕生してかれこれ4代目(USA版のみの換算)なのです。
ざっくり歴史を覗いてみましょう。
BIG MUFF誕生。トライアングル・ノブ期(1968年~1973年)
BIG MUFFは歴史が長く、1968年に発売されました。この時期のBIG MUFFはノブの位置が三角形になっていることから、通称「トライアングル・ノブ」と呼ばれます。
下の画像の左側のエフェクターです。
弁当箱と称されるBIG MUFFですが、この頃のモデルは少し小さめ。
この製品の前に発売したマフ・ファズに似た音のキャラクター、かつデカイからビッグ・マフと命名。
なんて雑。愛しい。
しかも「同じ定数なら安いパーツ使った方が商売的に良いじゃん!手に入りやすいのを使おう!」という理由から、発売する度にパーツからノブからガンガン変わります。
結果、○○期と括っていますが、個体ごとに音が違うのが当たり前。
雑が過ぎる。愛しさしかない。
売れ行きも良かったため、73年にメジャーチェンジを実施。
デザインが変わり、個体が大きくなります。
今回の記事の主役、ラムズヘッド期のBIG MUFF誕生です。
大きくなってデザインも変化。ラムズヘッド期(1973年〜76年)
ついに来ましたラムズヘッド期。右下にブランドアイコンがありますよね?
背景のシルバーとおとぼけな表情がまさに羊。間違いなくラム。そうこれがラムズヘッド。ジンギスカン食べたい。
ラムズヘッドといえばダイナソーJr、ゆら帝、ブッチャーズ!
このラムズヘッド期のBIG MUFF、売れてはいたものの、当時の有名アーティストが使っていたかというより、どちらかというと80後半〜90年代に”ファズ好きは誰もが知る”となった印象が強いです(ハセガワ印象)
海外ではファズ大好きダイナソーJrのJマスシス氏が愛用。
日本ではゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんや、bloodthirsty butchersの吉村秀樹さんが愛用したことで爆発的に有名になりました。
何なら、ギタリストじゃなくてもJ-Rock好きはbloodthirsty butchersのkocoronoジャケ写で出会っているのでは。
はい、ここからハセガワの独り語りです。
ここでハセガワとファズの初遭遇話をします。
時を遡ること15年以上前。ハセガワは”ファズ”の良さをさっぱり分かっていませんでした。
こう、ざっくりと”古い音”。”ヌケの悪い音”というイメージで”時代遅れのエフェクター”とすら思っていたのです。
ところがある日、この曲でぶっ飛ばされることになります。
ゆらゆら帝国の午前三時のファズギター。
CD盤でもファズギターの音がスピーカーを破壊するんじゃないか、と勘違いする程の爆音。
部屋を埋め尽くす圧。心の芯が震えた気がしました。そう、ファズは空間を支配する。
人間、とんでもないモノに出会うと、歓喜と震えで叫びたくなりますよね。まさにそれ。
これがハセガワのファズ原体験です。
ゆらゆら帝国をご存知のない方はベスト盤(1998-2004)を買いましょう。apple musicで聞くことも可能です。そして”Sweet spot”、”空洞です”を聞くのです。出来上がってしまうまでの足跡を辿るのです。
しまった、話が逸れた。
このゆらゆら帝国のVo&Gtである坂本慎太郎さんがBIG MUFFのラムズヘッドを使用していると知り、そこからラムズヘッドを求める旅が始まりました。が…
プレミアによりオークションや中古で当時6万オーバー。ギター買えるよ…ということで現行BIG MUFFを手にし「いつかはラムズヘッドを…」と思い続けてきました。
ハセガワは今回のリイシューを何があっても購入します。が、自分が思っている音が出るかは別問題。
これは次の理由から。
この頃のエレハモのお約束。パーツが違いすぎて同じ音がしない問題
トライアングル・ノブ期の際に説明しましたが、発売する度にパーツがころころ変わる上、そもそも定数が全然違ったりするという、もう”同じ定数で安いメーカー品を”でなく、”似たような音するからコレでええんちゃう?”とさらに悪化したのもこの時期。
クオリティコントロールってなんだっけ?勘?
結果、個体差が激しい、というか別物に近い勢いに。マニアが語りだすと止まらないのもこの辺りの事情。画像は赤ロゴ&黒文字ですが、ロゴや文字が紫Ver、青Ver、黒Ver、赤Verと多種多様。
しかも75年辺りにマイナーチェンジ。バリエーションの鬼。いや、バリエーションと言っていいのかコレ。
「見た目が同じだけど音が違いすぎる」
「蓋を開けないとどの時期か分からない」
「3rd(ラムズヘッド期の次モデル)を開けたらラムズヘッドだった」
これぞ我らがBIG MUFFクオリティ。星の数ほどあるラムズヘッド。
あぁ愛すべきマイクマシューズ(エレハモ社長)に敬礼を。
長くなりすぎているのでスピードアップを図ります。
次は1976年〜1982年のモデル、通称3rd! 通称が急に雑!
Popな弁当箱、爆誕。3rd期(1976年〜82年)
ここから見慣れたデザインになります。
画像は現行モデルですみません。LEDを外してノブを変えてTONEの上側に文字をいれると当時のデザインになりますので各自脳内補完で。もしくはGoogle先生が教えてくれます。
ちなみに例にもれずパーツ関連は代わり、しかも最初期の3rdは中身がラムズヘッドだったりします。メジャーチェンジ…?という疑問が発生する事態。
それもそれのはず。マイクマシューズ氏曰く「気分的なものでデザインを変えたと思う。中身はそのまま」との事。素敵が過ぎる。
とはいえ、77年頃には中身を大幅アップデード。というか回路自体を刷新したので完全に音が変わり、高域が鋭い現行BIG MUFFな音に変わります。
あなたの手元にもある弁当箱の方向の音ですね。
そして78年以降は回路を変更してオペアンプ仕様に変化。
このオペアンプ仕様は発売期間が短く、あまりにレア過ぎて超プレミアに。
流石に高すぎるということでマイクマシューズ氏が2018年にリイシュー。
ポップで可愛い!他のリイシューと違って元のデザイン関係無しなのはご愛嬌。
色味はポップですが、the smashing pumpkinsのビリー・コーガンの愛機だと言えば伝わる方には伝わりますね。そう、他のよりジリジリとドギツイ音がします。
エレハモ倒産。ソ連(現ロシア)で生まれたSovtek製(1990年〜
はい、なんと1982年にエレハモは倒産します。再建を図るも84年に再度倒産。
しかもブランド名の権利も失って使えない事態。マイクマシューズ氏は真空管のビジネスチャンスを見つけ、ソ連で会社を立ち上げます。その傘下にSovtekブランドを設立して真空管を作る傍ら、中身がBIG MUFFな”RED ARMY“を販売。
91年にはエレハモ&BIG MUFFの商標を取り戻して名称をRED ARMYからBIG MUFFに変更。
この頃の個体は通称”Sovtek Civil war“(流石にエレハモHPに画像がなかったので割愛)
94年にはSovtek系で一番有名な通称”Sovtek Army Green“が発売されました。
Civil WarとかArmy Greenとか軍事感がするのはそのはず。
当時のマイクマシューズ氏は”安くて手に入りやすいパーツを使う”お方。ええ、軍用パーツがバンバン使われております。
結果、アメリカ製のBIG MUFFとは完全に別物の音に。やたら重いディストーション的なサウンドになりました。リイシューの”Green Russian Big Muff”のページでも”Distortion/Sustainer”という説明になってます。Oh,ファズですらなくなった。
ちなみにArmy Green。ハセガワが通っていた大学の軽音楽部スタジオの片隅に転がってました。
通称、”地雷”。”戦場に転がっているのが似合うエフェクター選手権 不動のNo.1″。
この後、緑色は黒へ変化し2010年まで販売されます。
Sovtek系だけでも大きく4種類。BIG MUFFの種類の多さは止まらない。化け物か。
USA製BIG MUFF復活。LED付いて使いやすく(1996年〜
何度も写真を載せているので割愛しますが、現行のUSA BIG MUFFが復活したのがここ。
ハセガワが初めて手にしたBIG MUFFもこれです。
踏んだらベコベコ言う、エフェクターケースの場所を取る、中身スカスカ、変換アダプタが無いとACアダプタ使えない。
我らが愛すべき弁当箱!!
急に発表されたリイシュー達。しかもコンパクト(2017〜)
ここ10年程、現行のBIG MUFFが小さくなって”LITTLE BIG MUFF”と発売されたり、その後nanoサイズになったり、METAL MUFFなんてのも出てきた中、1つ目の事件が起こりました。
2017年、Sovtek Army GreenがGreen Russian BIG MUFFとしてリイシューされたのです。
これはもしや…いや、でもUSA MUFFのリイシューなんて聞いたことも…とやきもきする我々を尻目に、2018年、3rdオペアンプ期がOp-Amp BIG MUFF Piとして、続いてトライアングル・ノブ期がTriangle BIG MUFF Piとしてリイシュー。
来る…これはラムズヘッドが来る…!!!!と期待感を煽りに煽って今回の発表!!!
ついに2019年、Ram’s Head BIG MUFF Pi発表!!!
この時を!! 待っていた!!
伝われこの感動とか青春とか歪みとか挫折とかのエモーション!!
踏もう! ファズを踏もう!! 愛でよう!!! ラムズヘッドを愛でよう!!!!
ここまで読んだあなたは、手にするしか無い。
実のところ、使いやすいファズです。
2000年代にZ.VEXがFUZZ FACTORYを発売…もはやファズを再発明し、ファズ=極悪変態発振と定義したため、最近は飛び道具感が強いファズ。
それに比べるとBIG MUFFはまだ扱いやすい極悪具合。しかもラムズヘッド期は少しディストーション寄りな温かみのある音も出ます。
なのでファズを持ったことの無い方、ファズに触れてみたい方。
そんな方にもオススメな逸品であること間違いなし。
是非、発売後には楽器店で試奏して虜になってしまいましょう。
エレハモはいいぞ。
以上、ハセガワでした。
Big Muff Pi Original
メーカー名:ELECTRO-HARMONIX (エレクトロハーモニックス)
参考価格:¥8,480(税抜)
※2019/10/25 サウンドハウス調べ
中学生の頃にロックに目覚め、ボーカリストを目指した‥‥筈が、ギタリストが居ないバンドでギターを弾き、ベーシストがいないならベースを弾き、ドラマーがいなけりゃドラムを叩く、器用貧乏を地で行った音楽好き。
皆が楽しく遊べるならそれで満足!をモットーに日々ゆるゆるしております((*´∀`*))~°